離れ過ぎて

そういえば前回の日記って何やったっけ…あぁ、ネコミミの話か…。


二丁目棚(にちょうめのたな)



壇林皇后の御尊骸を捨てし故にや。
今も折ふしごとに女の死がい見へて、
犬烏などのくらふさまの見ゆるとぞ。
いぶかしき事になん。
       竹原春泉画 桃山人夜話『帷子辻』

壇林皇后は類稀なる美貌の持ち主で、その美しさに心奪われない者はいないと言われるぐらいであったが、仏教を厚く信仰していた皇后はそのような世間の風潮を常々残念に思っていた。そこで自分が死ぬ際に、次のような遺言を残した。
「亡骸は埋めず、辻に捨てよ。死後四十九日の間に変わり行く様を恋に迷う人々に見せ、無常の心を呼び起こすのである。」
こうして皇后の遺体は野に晒され、犬や烏の餌食になった後、白骨と化して四散した。その様子を見た人々は心打たれ、それまでの行いを悔い改めたという。
その際、皇后の遺体が晒された場所が帷子辻と言われている。

しかしこの事件以降、帷子辻では犬や烏に食い荒らされた女の死骸が現れると噂されるようになった。話を聞いて確認に行く者も現れたが、その時には既に死骸は無く、荒涼とした野が広がるだけであったという。そのようなことが繰り返されるうち、そもそも壇林皇后のありがたい遺志が実行に移された尊い場所であったはずの帷子辻は、女の死骸が現れては消える魔所として恐れられるようになってしまったのである。

そのような尊い場所でも奇妙な現象が繰り返し起こる魔所になるのだから、自分のアンニュイな見返り写真がいつの間にか貼られていた院生部屋2列目R英子さんの棚が、怪しげな写真が貼られては消える魔所になっても何も不思議なことはないなあ。
そう思いつつ、棚にKっきーのネコミミ写真を貼るのであった。