怪談之怪 with 幽

tawashiatama2006-08-26

久しぶりに出たこのカテゴリー…と書くとまるで篭ってしまっている人のようであるが、この度、生まれて初めて“トークライブ”なるものに参加した。以下はそんな午後の様子を記したものである。


11:00 起床

    今日のイベントはテルサホール(京都駅から徒歩10分、九条新町の交差点を南に行ったところ)にて11:30入場開始、12:00開演であるから明らかに寝坊である。楽しみにしてたんじゃなかったの!?支度を整え、慌てて家を出たのが11:25。当然公共交通機関に頼っていては間に合わないので、東大路通りでおもむろに右手を上げる事となる。余計な出費2,000也。


11:50 会場着

    開演前に無事到着。会場前のブースにてパンフとTシャツを買う。売り子のおねいさんがあまりに可愛かったので、関連書籍やらを物色するふりをしてうろうろしていたら、いつの間にやら横にどこかで見たようなおっさんが。何と今日の出演者の一人、木原浩勝さんでした。せっかくだから握手とかしてもらおうと思ったが、実はこの人のことはほとんど知らなかったりするのでやめておく。 買ったTシャツはこれ(1.高橋葉介Tシャツ)。こんなの普段着てねぇぇぇぇ!!ザンビア人Tシャツより浮くこと必至だよ!!


12:00 開演

    雇われお姉さんがカミカミで簡単な説明をした後、『幽』編集長の東雅夫さんが出てきて開演。本日は4部構成。

1.特別ゲストによる怪談話
出演者は東雅夫京極夏彦森山東、山田誠二の4人。東さんが進行、京都ならではの特別ゲストである森山さんと山田さんの両名に話を聞きつつ、やる気無い風な京極さんが茶々を入れるとスタイル。なかでも森山さんによる宮川町に纏わる話は面白かった。そうか、店に天邪鬼が棲みついて客足が遠のいてしまった場合は、裏口を開けて天邪鬼を手で押し出せばいいのね。何と簡単な。


2.怪談紙芝居
梅田佳声による怪談紙芝居。始まる前に梅田佳声さんと唐沢俊一さんが出てきて簡単な紹介とDVDの宣伝をしていった際、唐沢さんが「だから文化庁(?)に『真面目にやれ!』って言われるんですよ!」と言っていたが、なるほど確かにその通り、内容は紙芝居の名を借りた内P面白アテレコであった。
演目は『いすず姫』。戦前からある作品で、紙芝居のほとんどが戦争によって焼かれてしまった中、某所に保管されていたため何とか無事現代まで残っている数少ない紙芝居のうちの一つらしい。で、これをスキャンして、ノートPCでスライドショーをやり、それに声を当てるわけですよ。暗闇に輝くリンゴマーク。まさかいきなりこんなギャップで笑いを取りに来るとはあなどれん。
肝心の内容について。私はこういう紙芝居を見たことが無いから他と比較することはできないのだが、それでもこの人は上手いと思った。ぐいぐいと引き込まれる。確かに前述の通り、不真面目とも言えるようなアドリブが随所に組み込まれていて、所々で笑いの起こる妙な“怪談”であったけれども、それも含めての『梅田佳声の世界』なのだろう。聞いているこちらとしては、特に違和感も無く、ただただ楽しめた。紙芝居の面白さを教えてくれた有意義なひとときであったと思う。
ちなみに、以下はそのアドリブの一つ。幽霊にさらわれ、素性を知らずに育ったいすず姫が、育ての親の病を治すために、生みの親である殿様の城下町を訪れる。宿屋の主人からの「凄い美少女が来た」という知らせを、家来が殿様に伝えるシーン。

家来「殿、宿屋の主人が『凄い美少女が来た』と申しておりますが。」
殿「ほう。だから何だ。」
家来「はっ?」
殿「だから何だと言っておるのだ。わしには妻がいるのじゃぞ!貴様、このわしに不倫を勧めるつもりか!!」
家来「いえ、そんな滅相も無い」
殿「…いや、まあしかし会ってみるだけなら問題はあるまい。」
家来「そうそう、会うだけなら奥方様も文句は言わないでしょう。」
殿「そちもワルよのう…よしわかった、ここに連れて参れ。」

うろ覚えだけどこんな感じ。これをあの人数の前でやる度胸は凄い。


3.怪談朗読
京極夏彦による怪談の朗読。半分夢の中にいたので、実はよく覚えてません。


4.怪談バトルロイヤル
再び東さんが進行、平山夢明福澤徹三木原浩勝の3名が会談を披露し、京極さんが茶々を入れるという構成。


福澤徹三さん…昔、雑誌の読者投稿欄に出ていたお化けの絵と、数年後に見たテレビの心霊特集で霊能者が廃校にいる霊を霊視して描いた絵がそっくり同じだったのを、不思議に思ってその絵を最近探していたら、昔読んだ雑誌とは全く違う本にそのお化けの絵が載っていた、というお話。お化けの絵はスクリーンに映し出されたのだが、これがまた気持ち悪い。当時流行ってたんかな?都市伝説とかで。


平山夢明…都市でだらけた気を引き締めるために樹海にキャンプに行く→外で用を足している間に霧に巻かれてテントを見失う→「ここでパニックになるわけには行かない」→ベーゴマが落ちているのに気付き、それに没頭することでパニクるのを防ぐ→しばらくすると霧が晴れる→何と、すぐそこだと思っていたテントからはいつの間にやら100mほど離れていた!→しかもテントに帰ると口紅の付いた吸殻が! …という突っ込みどころ満載のお話。いや、確かに怖いんやけどね。どっかネジが外れているとしか。


木原浩勝…飲み会の席で映したビデオと写真に、得体の知れないものが映っていたというお話。この人の話が一番怪談らしかった。


で、最後はそれぞれの近況を告げてお終い。最後の木原さん以外の話は、やはり笑いの起こる怪談話であった。前年の大阪公演のレビューには、「土地柄のせいか、笑いの起こる…」と書かれていたが、これは土地柄というよりも出演者のパーソナリティーの問題であろう。特に京極さんは、用意されたマイクが4本しかなかったため、途中で自分のマイクを他の出演者の方へと持っていかれたのに、その後も健気に突っ込んでおりました。やる気あるのか無いのかわからん人だ。





これが『第16回 怪談之怪 with 幽』のあらましである。京極効果というべきか、女性率の凄く高いイベントであった。普段北部構内で生活している者にとっては、特に夏休み中の北部構内(視界に入る人間は100%男)にどっぷり浸かっている者にとっては、これが世間だとはにわかに信じがたいね。


帰り際、販売ブースを覗くと唐沢さんと梅田さんが『猫三味線』のDVDを手売りしていた。その距離約2m。近距離パワー型なら確実に射程距離内である。梅田さんの紙芝居には興味をもったし、唐沢さんは前から結構好きなのでかなり迷ったが、これを買ってしまうと実家に帰るための電車賃が心もとなくなってしまうので泣く泣くスルーする。


amazonで検索。こ、この値段は…。調子乗って買いに行ったら大恥かいてるとこだった。危ない危ない。