バイトだけ募集してハイ、ドーモというのもアレなので

実際にどういう作業をしているのかを写真入りでものすごく大まかに説明します。



今日の獲物:ミシマオコゼ(スズキ目ワニギス亜目ミシマオコゼ科ミシマオコゼ属)



この状況下でまだ鼻提灯出して寝ているとはいい度胸してやがる。
さあ、何はともあれまずは胃内容分析だーッ!!べジータ様のお料理地獄風)


ピンク色の部分が胃。今まで見たことないくらいパンパンに膨らんでいたので喜び勇んで開けてみたが、中からは寄生虫らしきものが1匹出てきただけであった。あとは全部水。胃から流れ出る大量の水を見て、ブラックジャックの“99.9パーセントの水”を思い出す。ためしに凍らせてみればよかった。


胃内容分析を行った後は、頭部といくつかの脊椎骨を残した状態で、不要な胴体部分を切断する。
そして火加減に注意しながら、おそるおそる煮る。




煮られた図。ここから、ピンセットを用いて肉を外していき、骨のみの状態を目指す。火が通ると非常に身離れがよくなるので、力も要らず特に苦労することはない。大型サンプルの場合は、中まで火が通るくらい煮ると比較的表面の構造(顎の部分など)が崩壊してしまうため、「少し煮る→煮えた部分を外す」という行為を繰り返す。小型サンプルでも煮えにくいものは同じ。



頭骨+カマの部分を逆さまに置いたもの。この状態でひとまず耳石を取り出す。本来なら、カマの部分は計測に用いないので必要ないし、これが付いたままだと頭骨のクリーニングが厄介なので早い段階で外してしまうのだが、この魚の場合カマが付いたままの方が格好いいので、今回は保持したまま作業を進める。



耳石は、脊椎骨と頭骨の関節部に近い場所にある(図中)。図で示しているのは左側のみ。比較のため、左側はもう外から頭骨を破って耳石を取り出した状態にし、右側はそのまま状態で残してある。この魚のように、耳石が比較的大きく眼窩から取り出せないような場合は、耳石のすぐ外側の骨を破って取り出すのが一番手っ取り早い


耳石を取り出した後は、ブラシなどを使い、骨に付いた余分な肉や皮、軟骨を取り除く。ここで手を抜くと、乾燥させる過程でいろんなものを呼び寄せてしまうので、これら可食部をなるべく残さないよう徹底的に行う。脳や脊髄も忘れずに掻き出す。



綺麗になった頭骨。この調子で他の部分もクリーニングする。




 


これで完成。
以上がうちの研究室でやっている標本作成作業の大まかな流れです。


今回は特別に格好よさそうな骨はなるべく残すようにしました(普段標本として残すのはこの半分ぐらい)。クリーニングする骨が増えたのと、カマを残しながら作業したのとで作業時間がいつもの倍以上かかったわけですが、楽しみながら作業することでモチベーションが維持できたし、何より日記のネタもできたということで、たまにはいいんじゃないでしょうか。



ちなみに、これらの骨を見た多くの人はガンダムを連想するようです。ガンダムっぽいとか、ガンダムに被せてみたいとか。確かにモビルアーマーっぽく見えんことはないですが。私はガンダムよりも先に聖衣(クロス)を連想しました。世代の違いなのか、感性の違いなのかは分かりませんけど。